踏みつけてふりあおぐ、春/たりぽん(大理 奔)
 

舗装された道の
ペイントされた、とまれ

踏みつけられた骨の色の
見上げる季節の樹香
舞い散ってへばりつく
美しいという名の死骸
立ち上がれない
ペイントされた、とまれ

月が出ているのに
山の上に閃光
時折かぜに混じる雨粒
痛みだけが
生きていることを突きつける
擦り切れていく
ペイントされた、とまれ

骨の色、牙の色
白く、停止され定着する
現像された
名前のかたち

この夜、踏みつけて
振り仰ぐ
うっとうしいそのむれの
舞い散る死骸のひとひら

頬に張り付いては
雨粒の別名を
ささやく




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