杉の影さす教室〜中学卒業によせて〜/まきび
 
学校は不思議
ワックスをかけてみがかれた木の床と
コンクリートの壁
誰も居ないときはすごく寂しいところなのに
そこに私たちがひしめいて笑いあうと
途端に学校が息をし始める

卒業を前にしてみると
いつもと同じように
誰も居ない教室に座ってみても
校庭の掛け声に耳を澄ましてみても
日がくれかけて
杉の木の影が二本さしても
まるで私たちなど初めからいなかったかのように
学校はずっと息を潜めたままでいる

毎日同じ時間に教室に集まり
暑くてしょうがない授業や
眠くてしょうがない授業を受けたり
微生物が見つかったほど汚い
錆びた水道の前で話し合ったりしたこと
もと
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