銭湯/
太郎冠者
赤チンみたいな薬風呂は
老いた猿たちの静けさ
泡ぶろのサラリーマンは
狂想中である
小猿が
ごじゅに、ごじゅさん、ごじゅよん
と甲高く鳴けば
オットセイたちのたてる波が
ヨイショ ヨイショと合いの手を入れる
(さっきまで石像だった猿たちは少しだけ動いて 眼と耳が大きくなって)
ろくじゅはち、ろくじゅなな、ろくじゅはち
朦朧とした小猿のあやしさに
付き合うのは親猿とか
石像とか オットセイとか 俺とかで
やっぱり百までいって欲しいと考えている
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