嘘つきは詩人の始まり(下書きよりの抜粋)/窪ワタル
や感情とぶつかって、それをもう一度捕まえて放り投げて拾いに行くというような感覚、詩において感情とはそういう風にして結果的に表れるものだと私はおもっている。だから、架空の事でも、嘘でも、詩は書けてしまう。空想の世界の中では、恋もすれば、人も殺す、時間も、空間も、現実も、実は大した問題ではない。世界は空想の世界に引き込まれ、言葉を持たないもに言葉が与えられるのだ。
言い換えれば、詩は嘘でできており、詩人とは嘘つきのことである。嘘をつきたくないとか本当の気持しか書けないとおもっているなら、その本当のことや気持についてもう一度疑ってみる必要がある。詩は、事実を書いていても、事実そのものになどなり得な
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