あの頃ぼくは若かった/ナオ
あの頃ぼくは若かった
世界を知っているかのように
ヒーローは間違いなく
ぼくの味方だった
太陽は
抱くべき
自然そのものだった
強く打ちよせる波を
いくつも
こえて
本当に大切なものが何かなんて
考えたこともなくて
そう
きみを
きみという創造を
こえることすら知らずに
少年だったぼくは
ときおり
駆け寄ってきて
ぼくを連れだそうとする
誰に出会うのかなんて
世界が本当に優しいかなんて
きみには知らせたくなくて
時間のない雲の上を
一緒に歩ければいいね
なんて空を見上げて
おとうさん
あれおかあさんの
かおににてる
水平線に
少年だったぼくと
肩を並べると
きみにつらなっていく
夢や希望
あの頃と同じ景色に
伝えることもなくても
きみのヒーローになれなくても
それらは
おどろくほど
幻ではなかった
戻る 編 削 Point(6)