夜空の微熱/たりぽん(大理 奔)
 
星の遠めがねを峠に据えて
のぞき見る未来への深淵
みんななぜか震えていたね

体温を奪ったのは
外套をはためかせて
丘を吹き昇る風ではなかったんだ

風のゆくえを仰ぎ見る先に
透明に横たわる
星空が

   届かなかった想いと
   薄皮を裂ってしみ出す祈りと
   震えて途切れがちな呼び声

奪ったのだったね

私の想いを奪ったのは
外套をはためかせて
丘を吹き昇る風ではなかったんだ

君のゆくえを見つめる先に
透明に横たわる
星屑は

   それを知って
   はじめて気づいたんだ
   頬をつたう、微熱

遠めがねで見ても
大きかったり
小さかったり
するだけで



[グループ]
戻る   Point(11)