ぽえむ君−手紙−/ぽえむ君
 
ぼくは詩人

自筆で書く手紙というのも
心の温もりを感じさせてくれる
たとえそれが短くても

今日もまた

朝の散歩をしていると
郵便ポストに出会いました

旧型の真っ赤な円柱
横にごろんと転がされていました

なぜこんなところにあるのか
わからないけれど
だれかが夜中にこっそりと
置いたに違いない

時代とともに
そこに捨てられてしまったかのよう

もともとどこに立っていたのか
わからないけれど
いろいろな気持ちを抱きながら
たくさんの人がこのポストに
手紙を入れたに違いない

時代とともに
ここに忘れられてしまったかのよう

ぼくは持っていたノートを丁寧にはがして
その紙で封筒を作りました

もちろん手紙も添えて

 ありがとう

これしか書けなかったけれど
そっとポストの中に入れました

気持ちに言葉はいらない

明日もまた

言葉のない詩を作りたい
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