批ギ kim『溶ける』/黒川排除 (oldsoup)
 
てきてもびびるわけであり錆びるわけであり対応に困る。よく、相対するものを使ってそれがうまい具合にキャッチボールを続けるような、初めて出会ったフィリピーナのはずなのに話が弾むみたいな、ある種の困惑をもつ心地よさがある作品はあるけれどもどうしてもこの作品にはそういう感覚が見出せない。マイクロフランジャーはともかくフェイズ90だなんてかなりマニアックな言葉だと、おれの語彙が変でなければ、思うんだが、それで世界がグルグル回ると言われてもピンとこないわけだし、それを受けて、回って溶けると言われてもやはりピンとこないわけだし、そのことがたいへん気がかりで、作品を読むスムーズさ・作品を読ませる力を失ってしまう。
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