はるか西にいるおきゃんな少女のために/吉岡孝次
放り上げた空にあなたの姿が映るよ
白くかがやくこの円天井は思いきり酸っぱい匂いがする
廃車場のバスの屋根に寝転んで
ぼくは若枝のように腕をのばすんだ
てのひらにあたる光と風に
Hello! のエガオを感じると ほら
辞書はめくれた
虫も跳ねてる!
森の向こうにはいくつもの県
とん、
とん、と渡って抱きつきたいな
あなたは
きっと倒れてしまうだろうが
起き上がれば
帳消しだ
逃げ出し洗いたての葉の裾に紛れては
ショートカット
振り切る
水滴を散らすように約束は忘れてしまえ
残るのは胸
いっぱいにみたす青
ウインク一つで
待ちきれるかい?
── 草の上に降り立てばぼく
の町は一面の交響楽。タ
クトを握って、さあ、飛
び込んでいけ!
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