ゆくえ ひびく/木立 悟
 



指から指へ
景はわたる
花をまわす
雨をまわす



雪に点る青い芽の
ほころびぬものだけがうたいはじめて
折れた枝 折れた風
泣き眠る陽に触れてゆく


ひとつ またひとつ
指をとおりすぎる指
しずくとともに
落ちつづける景


土の壁に浮かぶ色
まわる花の色を聴く
終わりはじまるものの終わりに
置き去られゆく匂いを聴く


火口と連弾
唱の輪と浪
曇はひかり
夜はひかり


傷跡に水は流れ込む
泉が海になるあいだ
指は指を眠らせて
静かに空を浴びつづけている










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