ゆきだるま/ukiha
 
その男の子は、まん丸い顔に頬のあたりを赤くして、道端に忘れられたように立っていました。
わたしはなんだか、ころんころんした、起き上がりこぶしのお人形みたいだな、
とおもいました。

男の子はわたしが近づくと、ずっと長いこと待っていたような顔で、
ゆっくりと息を吐き出すように
「あそぼう」と一言だけ言いました。
その声がなんとも可愛らしかったもんですから、わたしはつい振り向いて、
にこっとしてしまったのです。

「何して遊ぶ?」と聞くと、男の子は
「鬼ごっこしよう」と言います。
それでわたしたちは鬼ごっこを始めました。

最初は男の子が鬼になり、わたしが逃げる番でした。
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