遠い場所へ届こうとする言葉 ??中村剛彦『壜の中の炎』について/岡部淳太郎
われる「あそこ」とは、詩人が目指す遠い場所であるだろう。
さて、ここまで私はこの詩集について随分と熱をこめて語ってきたつもりだ。ありていに言えば、私はこの詩集が好きである。また、この詩集に表されている中村剛彦という詩人の姿勢が好きである。それは詩に対する姿勢であると同時に、詩人自身の生に対する姿勢であるかもしれない。『壜の中の炎』、遠い声を得た詩人が著した、静かな豊穣を勝ち取った詩集である。またひとつ、私の書架に良書が増えた。詩人へ感謝の思いを捧げたい。
(二〇〇六年三月)
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