「黄砂」/do_pi_can
降るのではない
吹かれ来るのだ
寒暖の激しい悠久を
安住の地と決め
とどまりいたところを
いきなり大気に持ち上げられ
大空を揚々と移動する雲を抜け,
丸く広がる黄色の大地と,さんざめく海を眼下に見,
大気を次の住処と決めかけたにもかかわらず
いきなりの下降気流に手をとられ,
このひしめきの地をどれほどか
吹かれ吹かれ
ように辿り着く
ここから,地に潜るもの,流され行くもの
それぞれに,新たな想いで積み重なり,
新たな想いで流される
そう,われらは,記憶することを知らぬ
移動するか,堆積するかの
どちらかなのだ
どちらであっても,大差はない
世の始
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