白いガー/Six
 
白いガー
ベラの鉢植え箱の中から取り出され髪の毛を存分に乱しながら居眠りから醒めた別嬪の逞しい太腿のごとき緑の葉。

「大事に
したいわ」と心の底から思い大事に大事に掌の中で温めて殺した昆虫の屍のにおいのするわたしの手を握るきみ。

「大事に
しろ」と書かれた鉛筆文字のカードの裏にきつく浮かびあがった逆さ文字の「大事にしろ」を撫でる拇のさかむけ。

白いガー
ターの靴下どめ思い切り下にのばしてやっと靴下のフチにひっかける覚束ない手元に苛立ち熱を帯びる太腿の肉。
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