装い新たに、ロープもまた/プテラノドン
装い新たに、春がまたやってくる。
けれどロープはロープとして、ロープのままで
ロープであることの命令を守り続ける。
庭先や、地下室や、納屋で、そのままの格好で。
埃にまみれて 薄汚れて それでも僕は―なんて、
おいそれ語りだすことはないが、瞑想している。
それらしい木の枝で、さえずる小鳥たちと一緒に。
待ち侘びているかもしれない。死刑台を懐かしみながら?
「誰を待っているんだい?髭を生やしたカウボーイかい?
それとも若い尼さんかい?」と僕が訊いても、
ロープはくすくす笑うだけ。風がくすぐっただけ。
ともすればロープはネクタイみたいに僕の首から垂れている。
そして耳元で囁く―「犯人は、お前だ。」と。
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