日々。/有邑空玖
日々は
音に紛れてゆく
静寂さは救いにならない
蕾の綻ぶ音さえも
きみは哀しいと云うのだろう
指先からは空の遺伝子
過去は遠く、未来は果てしないのならば
揺らぎのない今日を生きるしかない果敢なさ
電線を軋ませて
届けたい言葉を幾つか
きみの両手は選んでゆく
日々
仕方のないことだらけの世界に
溺れそうになる弱さも
「好きなものは好き。嫌いなものは嫌い」
と舌を出す無邪気さも不穏でしかなくて
夕暮れとともに消え去る町の音を望んでいる
日々は
繋がりを持たない時間の羅列だ
脆弱さは理由にならない
時折振り返っても
未来は見出せないだろう
繋いだ手を離さないように
不穏さすら糧にしてゆく
雑音に紛れる言葉を見失ってはいけない
指先には空の遺伝子
朝はいつだって
明るいだろ?
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