やまびとの散文詩(一) /前田ふむふむ
。
更に、踏み出すと、道は次々とできていった。
それは、こころに詰まっていたものが、水のように溶けて
生きる希望を抱かせたが、それだからこそ、
旅をしなければならないという
無言の試練が与えられているということを、
わたしたちの誰もが、
否定することは、できなかったのだ。
やまびとの散文詩・断片3
わたしたちは、旅の途中で、不思議な村に泊まった。
それは、失語症の人たちの村だった。
誰もが何も語らず、また、誰もがその病に苦しんでいる
様子も無い。日常の生活は機械のように狂い無く
順調に進められている。
村の広場にある拡声器から、艶かしい流暢な若い女の声の
歌が
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