嘘とパラドクス/アシタバ
 
に示しておくと、亀のスタート地点が前にあったとした場合、アキレスは絶対に亀に追いつけないことになるというものです。これは単線的な時系列に対して、二つのの運動主体を並置することが数学的記述上不可能であったため、亀にとってアキレスは常に後方=過去に、アキレスにとっては亀が常に前方=未来に位置することになってしまうというものでした。
 文章表現には幸い「追い抜く」という言葉があり、このパラドクスは回避されるかに見えます。アキレスは次第に亀に追いついていき、ついには追い抜き、引き離していく。このことに何の矛盾も感じません。なぜなら亀は足の遅い動物の代表格であるし、アキレスは動物界ではいざしらず人間という
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