ボイジャーはどうしようもなかった/まきび
 
ボイジャー2号という衛星をご存知だろうか
人間に勝手に作られて
宇宙に放り出されて
あげく永遠にさまよい続ける
寂しく小さな人工星

ボイジャー
君はしょうがなかった
何もほかに
しようがなかった

それでも
人間がこれまた
勝手に作った小宇宙なんぞという
プラネタリウムで
幸せな恋人同士よりは
幼いこどもに
ボイジャー
その人生の苛烈さをもって
強烈に自己意識を試させるのはなぜだろう

ボイジャー
あのときの少年は僕だ
作りものの宇宙で
星座の云々よりも
確かに君を見た
そこからは僕の姿が
見えるかい

永遠の暗闇
点々と咲いた星星のあ
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