牡丹雪/RT
 
片々雪花
春を目前に

街の喧騒を
吸い込み
静寂の


大きな雪片は
まるで天使の羽根だと
貴方は天を仰ぐ

天使なんかいないわ

私の胸に
貴方の名を刻み込んだのは
偽物の天使だった

運命が
貴方を連れ去るなら
私はもう
すべての神を信じない

牡丹雪に見とれるふりをして
沈黙
降り止まぬ無数の羽根で
貴方が見えない

貴方が見えない

ここまでで充分
貴方の場所へ帰って

雪が
うつむく貴方の髪を濡らす
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