ただ、さくらの日に寄せて/まきび
 
あなたはいつも
私の頭の上にいた
背の高い私よりもっと
高いところにあるあなたの優しさ

電車のなかでは私をかばうように
隣を歩くときはそっと腰に手を添えて
メールは毎日欠かさずに
それからいつも愛していると言って

当たり前の恋人たちを描いていた私は
そんな安っぽいオトコノヒトばかりを求めていた
路上の四季ばかりを追って
記念日の書いてある手帳にしか興味などなかった

私を見つめるあなたの瞳のぬれる夏
隣にいる人の温かさを分かち合う冬
あなたは季節の大切さを知っていた
わからずやで愚かな私を
そっと見守っていてくれた

君を愛したと
タイミングの悪いあ
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