鏡のナイフは似合わない/たりぽん(大理 奔)
 
鏡に映せない
言葉は綺麗な現象
だから私には
似合わないのです

指をつたう血が
涙と同じ温もり
人の温度と気づくから

  生きると言うことは
  連星(アルビレオ)を見るように
  遠くを見つめることなのでしょうか?

  生きると言うことは
  自分の血が
  錆(さび)の味と知ることなのでしょうか?

割れた鏡で
ナイフをつくれば
切り取れる、
星空も
心臓も

そんな簡単なことも
大人になった途端に
ふたり

忘れてしまったのでしたね

きっと
綺麗な刃物だから
私達には似合わないと

笑いあうのでしょうね



戻る   Point(10)