とある二人の会話/
 
「また何処かへ消えてしまった。僕の小さな星が」
「君の星?そんなものは何処にもないよ。君の物なんか何もない」

「どうしてあの花は一日中陽の当たらない場所に根付いてしまったの?」
「あそこに種を蒔いた人がいたからさ」

「生まれてから死ぬまで太陽を求めて」
「生まれてから死ぬまで太陽は得られない」

「それでも幸せなの?生きる意味はあるの?」
「さあ?聞いてみたらいい」

「花は答えない」
「人だって答えない」

「いつか太陽を求めなくなる?」
「影を求めるようになるかもしれない」

「長い時間をかけて?」
「長い苦しみの末に」

「僕は苦しい」
「君は陸にあがった最初の魚」

「息が出来ない。水が欲しい。苦しいよ」
「君は苦しみ悶えて死ぬ。陸にあがった最初の魚」

「いつか水を求めなくなる」
「いつか空気を求めるようになる」

「そして僕がいる」
「そう君がいる」
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