「Ethosは残しておいた」/木賊ゾク
濡れたアスファルト
錆びた車輪
雨の空
いつもの公園
花や風さえも
なんなのだろう
触れるような
触れぬような
ぎりぎりのところに
融けていってしまう
(ああ、幽(You)、きみはどこへ逝ったのか)
濡れたアスファルト
枯れ散った花
雨の空
いつもの公園
錆びた自転車も
なんなのだろう
堪えたくても堕ちる体
堪えなければ堕ちる滴
感覚のない頬の上
融けて体はひとつになる
(ああ、幽(You)、きみと永遠に踊れる)
肉体は補完され
魂は闊歩(かっぽ)、
青烟は跋扈(ばっこ)、
忘れたくない思い出は
そっと酸素に融かしておいた
もうこれで、
孤独を感じることも
涙を流すことも
ひとりでしなくていい
でも、せめて
今はもういない
自分に宛てて
Ethosは残しておいた
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