「サトリーズは泣けなかった」/木賊ゾク
春遠い夜の寒い交差点
車は走ってこない
自慢のブルーのケッタで走って
気づいた
ヒトリが淋しい事
缶コーヒーを自販機で買ったら
ポケットにそっとしまう
かじかんだ背中の
溶けかけたコート
缶コーヒーじゃ温めきれない
帰る場所はいつもの寒いあのヒトリ部屋
夜中の二時
ネットの温もりに
ベットの夢屋敷
ああまた平凡に
一日が終わって行く
春まがい夜寒い帰り道
僕も走っていない
自慢のブルーのケッタが消えて
気づいた
セカイが淋しい事
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