ピンクのハート/ANN
 


さいごまで良く分からなかった

石や宝石は見てるだけで大好きだったのに

お店に居ると

私は砕け散ってしまいそうだった

そして上司の言葉で本当に

私は砕けて散ってしまった



病床であの上司を恨みました

恨みは私を食い尽くしました



でもあれから何年か経って

あの宝石たちが待っていた誰か

のような存在にいくつも出会い

私は口紅で

ハートを描いたのです

いつかその絵を捨てる日が来ることを

私は知っていて

その日を待っています

それまで悪い血を吐き出しながら

最後の一滴を搾り出して

私は新しい

ちょっと高くてオレンジ色の口紅を

買うでしょう
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