流花/紫翠
 
白くうずめられた谷川へ
舞い降りる
まだ浅き春の 雪になって
私のほほにふれてください

いま 
瞳に映る美しいものすべて
あなたのものに


やさしくふきぬける
風のよな
寂しそうな
その 声は まだ 耳の奥に
きこえます 
いまも あなたのままに 


あなたの音色に包まれて
還る世界(くに)があったのです
寄り添うようにして
奏でた日々が
あったのです


ああ、もうひとめ
もういちどと祈り呟きながら
私は歌い、生きていきます


漣(さざなみ)の水面(みなも)をすべる
あなたは青い花
遠く流されても
瞼のうらで
青く光る
あなたは 一片(ひとひら)の花弁(はなびら)

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