非合/葉leaf
たすみには立ち枯れた真空があり、呼吸の精度をしずかに計算している。するどい日差しはあらゆる粒子を撃ち響かせるが、真空を撃つことはできない。砕けた波が真空へと破線をたどってゆくが、界面上でさびしく燃えあがるだけだ。真空はすべての悪を免れているし、すべての虚無を展開する。僕が粛々としわぶくときにだけ、真空はみずからを、ひたすらに青く塗る。
重ねられた手の根元にいたるまで、いくつもの雪原を過ぎなければならない。根元には海の鏡が置かれていて、未遂の爪たちがひしめき合っている。鏡の中の浜辺には無数の錐が生えていて、浜辺色の小石を実らせている。小石を握ってみるが、手の隙間からは小石の表面がこぼれ落ち、もはや小石は手の中に遍在する青である。手をつないでみるが、手と手の隙間では鏡の海がつぶれている。それでも僕は、世を捨ててまで手を崇拝しないではいられない。
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