非合/葉leaf
 
一枚ずつはがれてゆく沙漠から抜け落ちる温度に眼の奥を洗われて、新しい沙漠が水上に浮かんでは映発する様をいくつもの角度から剪断する。つぶらな音覚が限りなく前転してゆくその先では泣くことになるだろう。手のひらから隆起する沙漠のうごめきに屈しながら、額にうずもれてゆく沙漠のひらめきを痛みはじめる。沙漠のうるおいはやむことがないので、沈みかけるしぐさをひとくさり閉じ込めておく。

僕を生み育てた穴は掘られている、とまなざしを偽造する。穴から穴へと、水から水へと、指先の血管を滞留させてゆく。魚たちはいつでも過去の雲合から降ってくるが、穴の形へと、つぼんだ本質へと、変相することはできない。手の塊をもってし
[次のページ]
戻る   Point(8)