dreamscape(1)/篠有里
 
が動かないのどうしても足が動か
ない階段の終わりはいつしかどこか遠くに消えてしまい私はいまどこにいるの
か急速に浮上し雨が降る灰色の朝の色が見えるその壁の色はあのデパートと同
じモルタルのヒビのかたち濡れた色だ急に広がった視野に身体も心もついてい
けない誰かが壁を叩く音がするコツコツ毎朝毎朝訪れるちょっとは考えた方が
いいよ同じ時刻に眠りが破られる雨が降っている今日も壁を叩くお母さんは私
より先に階段を下りていく降りていく下りていく
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