dreamscape(1)/篠有里
 
シミを残す寝台の周りに池を作る流れていくそんなはずはないでしょ
う家族はとうに見えなくなっているのに目覚めているお母さんだけは(もしか
したらおばさんやおばあさんかもしれない女は)私をどうしても許してくれな
くて私は悔し涙を流しながら捨てぜりふを吐いてお母さんと決別する工事現場
の音がひどくうるさい淫らに濡れた赤い自転車が傍らを通り過ぎる赤い自転車
が走っていく知らない歌が流れてきて今自分がどこにいるのか外なのか内なの
かよく一瞬分からなくなってしまう私はそれを困った風に受け止めるひそめた
眉の峰の端には喜びの色が見え隠れしているにもかかわらず受け入れまいかそ
うでないか迷う事こそ
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