三日月1号線/AB(なかほど)
 
ジネスシューズを投げ出し
裸足になって
全速力で走ろう
       と
        したとき

  こおろぎ

     が 


一斉に鳴き出し

   道のまん中に

崩れてしまった


自分の歩いてきた
日常57号線に目をやると
彼女が
まだおぼつかない足取りでやってきて
僕は嬉しくなり
涙でボロボロになってしまい
その横を彼女が通り過ぎた


そして
こおろぎは一晩中鳴き続けた


鳴き続けてくれた


 



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