三日月1号線/AB(なかほど)
 

   
三日月1号線は
全ての痛みを解いてくれる
ここではないどこかへ行ける
らしい
東に向かって走る
それだけで

僕は毎日のように
日常57号線を
行ったり来たりしているのだが
三日月1号線に差し掛かると
よくあの娘を見かけた

彼女は意を決して走り出すのだが
決まっていつも
こおろぎが鳴き出し
それから
道のまん中に崩れてしまう

僕は僕で
いつかは左折しようと
思っていたのだが
崩れた彼女の横を
真直ぐに進むしかなかった


ある日
彼女の姿が見えなかった


月は東に輝き
誰も何も邪魔するものはないので
スーツやビジネ
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