ランボーと殺人/アシタバ
 
茹でた卵白
大きすぎる腕時計
意図的な長い刹那
鳴る
期待をはぐらかすように
響きもなく
喩えようもない自失
上目遣いに
憐れみをあてにして
温泉場の射的場みたいにうらぶれて
電話をつかむふりだけ
韻をふむみたいにびっしょりと濡れて
逃げ切れないと観念している暗い目で
まばゆい反射光のなかの拒絶(抵抗?)を思い出した
互い違いに付けた爪跡
徐々に
出来れば避けたいのだがと
まるで大学教授の口ぶりだ
追い詰めて、行く
晴れた日の人気のない砂浜
ただそう思わせたのみで
実際は
引きちぎられた
苦悶の
白い
前歯が濡れていた
行ったことなどない
見た
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