未詩 「 世界は少しずつ少しずつ磨り減って 」/砦希(ユキ)
いつか見た
山沿いのとうめいな川の水の
流れていくのと同じように
わたしも行けたらいいのに
寒い土地に生まれた
なのにこんなに寒がりなわたしは
もうどうしていいのか分からない 冷蔵庫の中に
閉じ込められてしまった
世界が少しずつ磨り減っていく
それは誰が望んだことでもないけれど
誰もが知らないうちに望んだこと
なのかもしれない
たとえば
星の王子様は
一輪の花を愛するあまり
死んでしまったのかもしれな
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