玄関からはいると何かの匂いがした/篠有里
 
われた時への旅を「実際に」体験するのだ。気がつけばスワン家の方向を通り越して遙か昔にタイムスリップ。多分古生代のシルル紀あたりね。魚類が現れた様子をダイジェストで体験した後、おもむろにまた現代の某ショッピングセンターに戻ってまた正面玄関の匂いをかぐ。1パック78円の卵を片手に握りしめつつ、過去にいったり未来にいったり、甘酸っぱい体験をしたりしながら「正面玄関からはいると何かの匂いがした」の至言を残し、家路につく。んでも結局卵以外買ってないのでママに叱られるのであった。ああ…そうなのか、そうなのね、なんて深い世界観がこの一言に込められていたのか。ワタクシ感動の涙を禁じ得ません。チリ紙箱ごとお代わり。
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