パブロ・ネルーダ、今さらだけど/角田寿星
ーよろしく
一塁ベースと三塁ベースを液体的に往復して
見てくれ 俺の手を
俺の頸動脈から噴出する他人の血を
馬鹿な血を流して横たわる馬鹿な屍体は俺で
俺はそれさえも知ろうとしない
パブロ・ネルーダ
だから 今さらだけど
夢や 木の葉の 話をしよう
故郷のおおきな火山の 話をしよう
パブロ・ネルーダ
あんたが多分読めない 俺の書いた汚ねえ日本語を
あんた専属のイル・ポスティーノ(郵便配達人)に渡す
彼が リアルのイル・ポスティーノなのか
映画でイル・ポスティーノを演じた俳優なのか
どっちだったのか よく分らないし
俺は知ろうとしない
ただ ふたりが意気投合して
チリとイタリアのワインで一杯やっててくれてればいいな と
それだけを 願う
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