パブロ・ネルーダ、今さらだけど/角田寿星
 

1973年9月11日
サンティアゴに雨が降って
その2週間後
あんたは死んだ
パブロ・ネルーダ
俺はそれ以上のことを知ろうとしない

1973年9月11日のあれは
アメリカの手引きがあっただとか
ピノチェットのクーデターであんたの同胞がたくさん殺されたとか
アカだった とか
生涯を闘いにささげた国民的詩人だとか
ギターが弾けぬよう両手を砕かれて最後には歌声と命を奪われたビクトル・ハラとか
あんたの詩が共産主義者の政治的宣伝に現在も利用されているとか
俺は知ろうとしない
パブロ・ネルーダ

あんたが書いた たった数行のことばに
俺は心臓を撃ち抜かれた


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