わたあめみたいななにか/桜 葉一
夕陽に染まった金魚は輝いていて
とても美しくって
金色と称してもおかしくはなかった
みいちゃんはやきそばが好きだ
出店のやきそば屋の
前に来ると
大きく息を吸って
ふ〜んいい匂い
といって微笑む
買って
だとか
食べたい
だとか
だだをこねるより
効果的だと知っているようだ
僕も微笑んで
美味しそうだね
といって
1つだけいつも買うことにしている
家でたべるのよりも美味しく感じるのは
みぃちゃんと食べるからだろうか
それとも他に理由があるのかもしれない
みぃちゃんはもともと可愛いが
浴衣を着るといっそう可愛くなる
そのことをみぃちゃん自身も知っているようで
いつもより仕草や
言葉遣いが
可愛らしくなる
そこがまた可愛い
頭は白いふわふわのわたあめみたいななにかがついていて
髪をまとめているようだ
縁日の帰りにはいつも
わたあめを買って帰る
みぃちゃんは我慢できずに途中で
つまみぐいをする
内緒だよ
と微笑むが
帰る頃には萎んでしまっているので
実はバレバレなのだ
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