パスタを茹でる間に/RT
 
パスタを茹でる間に
僕は死んでしまった

彼女は救急車を呼んで僕を運んだが
既に手遅れ
帰宅した彼女は
味のないぐずぐず茹ですぎのパスタを
僕の最後の料理を
ひとり頬張る
ぽろぽろ涙を流しながら
涙の塩分をスパイスに食べるのだ

なんてことを空想していたら
パスタを茹ですぎてしまった
彼女はムッとしながらも
黙って食べる

「さっきは可愛く泣いてたのになあ」
心の中で言った筈が声が出ていたらしい
どういう意味よ、と彼女は睨む
おおコワ

またジャンケンに負け
お皿を洗いにキッチンへ

退屈なので
僕は空想する

お皿を洗う間に
僕は…

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