長い夢のあとで/砦希(ユキ)
 
 
悪い夢を見て
(それは長くて怖い夢だった)
久しぶりに思い出したあの人を
いまさら心配なんかしている私は
よほどのお人好しか、もしくはバカだ


当時あの人は
私の通っていた高校の国語の先生で
国語の先生でありながら
さびしがりの私に
いつもやさしく触れてくれた

当時まだ恋に疎かった私は
彼に対する自分の気持ちが恋心なのかもしれない
と、思い違ったりもした
そのくらい彼と私の距離は近かった

私が当時まだ恋に疎いということを知っていた彼は
それなのに
私に触れ続けた

卒業した後
一度彼の車でドライブに出かけた
卒業してすぐの、春休みの話だ
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