桜に/
銀猫
きっと白に近くあり
霧雨を含んだ夜のなかに
咲き急いだ桜がひとつ
白く闇を破る
陽射しを浴びて
咲き競うのは
きみ
きらいですか
こんな湿った濃紺の中で
意表を突いて開いたのは
紛れも無いきみだけを
誰に向かって咲きたかったのですか
足並みを揃え繚乱すれば
だれもが酔うてくれること
承知で咲くのは潔さ
群れて薄紅さしもせず
五つに願った春の羽根
早く落とすを悲しみもせず
ひとり咲くのは
きみ
誇りですか
きっときみ
こころ
白に近く
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