春の悪魔/
麒麟
私の中で何かが眼を覚まし
それは動き始めている
それは触れられるものではなく
であるのに、つられて鼓動も高鳴る
長い冬を越していた
寒さに耐え、眠っていた
今、スイッチが入り
眼を覚ました
それが伸びようと
その外殻を破ろうとしている
急に伸びゆく内部の反動に
私は少し戸惑っていた
深く息をして
その正体を探る
こんな主ですまない
でも、君の思い通りにはならない
見据えるものに
後悔などない
静まれ
春の悪魔よ
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