召喚/吉岡孝次
古い雨が降る
小糠みたいな雨が降る
"The rain is raining." と唄ったのはイギリスの詩人だが
赤い髪をした僕は「ひゃ 〜〜 」と歌う大馬鹿野郎さ
おじいさん
おじいさん いつまで
待っているのですか 肉が付くのを
審判はまだですよ
そのうち誰もいなくなりますよ
生意気な一番星が線の下でじれていたって幻想(ゆめ)は
かないっこない 夜は永遠に来ないといっていいんです
紫の傘は一箇所 破れていますね 138個目の
雨粒が「裸眼を直撃」 ── あなたゆずりの凶眼を無残に
貫き
はじけます 石の上でぱちんと
さ さ 春の汁をあまさず飲ん
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)