終わりの日/篠有里
 

わたしの悦びの喫水線はただ深く
あなたを存分に引き回し
時間を好きなように形作ると
互いをよく知るふたりは
ただひたすら夢を見ずに眠るよう努める


あなたには、わたししかいないと考える
あの、いつわりの瞬間


その日の終わりはいつも突然に
誰かのためにわたしが泣くと
あなたのつく嘘を
わたしがすきだと知っていて
『これからはずっと一緒だね』
わたしがそう虚空に問えば
かすかに身じろぎしたあなたは
壁を向いたまま
『ああ』
と、答える
またおなじ事のくりかえし


思い出せないかつてのいつか
ふたりはそれと気づかずに
答えを知る事のない流れのさなか
はだかの肩をふるわせて
あの永遠の夕暮れを見つめ
静かにさようならと言った
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