首都高/霜天
東京が、間違えている
霞む家並みと赤い夜の下
眠れない腕の中に同じような灯りを抱いて
夢を、覚めない
点から散らばる線に乗せて
人と人とが離れていったころ
夕暮れを繰り返すビルの窓から
小さなボールを落した日
弾めば弾む分だけ
響くはずの音がいつも阻まれる
人も声も、空も、水際でさえ
高い絶壁に縁取られないから
見えない頭で、割切っていくしかない
いつだって滑らかな水面に
潜るように人は帰ってくる
線が集まると、声は
不思議な音色になって
その日も、泣きたい夢ばかり見る
それでも心地良いと言いたくて
東京は間違えている
人が隣り合う枝葉の向こうで
寝苦しい朝に、覚める呼吸を交換しながら
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