やまびとの散文詩(二)/前田ふむふむ
 
やまびとの散文詩―断片4

緑色の太陽が沈まない夜が、軋み、傾き、唸りを上げて
動揺する、わたしたちの長い旅は続いた。
黄金を隠し持つ禿鷲が棲む不毛の大地は、ときに、わざわざと
道を次々と造りだして、わたしたちを歓迎したが、
それは、その場を早く通らせるためであり、
かかわり合いを避けるために、
仕組まれていたことは、悲しいほど十分にわかっていた。
朦朧と煙が立ち込める、
登ることのできない峻険な青い断崖を前にして、
わたしたちは歩みを止めて、住み着くことに決めた。
それは、仮の居住であり、少なくとも、
最初はそのつもりであった。
わたしたちは、青い断崖の麓の歴史を書き
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