雨はいつもと同じように降りしきるから/砦希(ユキ)
明日降る雨を思い出せ
君はその浜辺で過去になる
象徴は象徴を生み
悲しみは虚空を呼ぶ
深い森をたどる
そこには何かがあるはずだ
木々はどこまでも伸び続いていて
上を見上げても
太陽はおろか
一かけらの空すら見えない
闇に包まれる
空気は冷たくて
けれど木々は風すらも君から遠ざけるから
君はそれほど寒い思いをしなくてすむ
君はたどり続ける
道は次第に細くなって
最後にはたどるべき道すら失ってしまう
でも君は
深い森をたどり続けなくてはいけない
君はどんな茂みも踏み分けていかなくてはいけない
明日降る雨を思い出せ
その森は君を取り囲むすべてのものの象徴だ
その象徴はあるときは僕でもある
君はそのような象徴をすべてかき消さなくてはいけない
君を取り囲むすべてのものから自由にならなくてはいけない
明日降る雨を思い出せ
君は目を閉じて
その雨に打たれる
君は雨と一つになる
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