雨はいつもと同じように降りしきるから/砦希(ユキ)
 
明日降る雨を思い出せ
君はその浜辺で過去になる
象徴は象徴を生み
悲しみは虚空を呼ぶ


深い森をたどる
そこには何かがあるはずだ
木々はどこまでも伸び続いていて
上を見上げても
太陽はおろか
一かけらの空すら見えない
闇に包まれる
空気は冷たくて
けれど木々は風すらも君から遠ざけるから
君はそれほど寒い思いをしなくてすむ


君はたどり続ける
道は次第に細くなって
最後にはたどるべき道すら失ってしまう
でも君は
深い森をたどり続けなくてはいけない
君はどんな茂みも踏み分けていかなくてはいけない


明日降る雨を思い出せ
その森は君を取り囲むすべてのものの象徴だ
その象徴はあるときは僕でもある
君はそのような象徴をすべてかき消さなくてはいけない
君を取り囲むすべてのものから自由にならなくてはいけない
明日降る雨を思い出せ
君は目を閉じて
その雨に打たれる
君は雨と一つになる


戻る   Point(3)