うさぎ/ひろよ
 
臆病で、淋しがり屋の、
貴方はうさぎ
差し伸べられたその手を
只温もりと信じたのか
冷たい土に残骸のみを残し
魂の消え去る事さえ
予想だにせず
血の通わぬその手を
安らぎと感じ身を委ねたのか
赤い血塗られた瞳は
何のために生まれてきたのと
語らう事さえ与えられず
凍れる風に骸だけを晒した
痛かったろう苦しかったろうと
声を限りに叫んでも
長い耳には届かない
弱者は強者の為に
強者は弱者の為に在ると言うのに
今生を象徴するかのように
逝ってしまった
貴方はうさぎ
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