ありふれた雨の夜/花田春菜
 
涙のかわりにぶつけたものは
剥き出しの闘争本能と吐露
ありふれた感情が伝う
ありふれた雨降り
窓の外の霞んだ景色を眺めて
ぼくは弱くなった?
戸惑いの夜は息も白く煙る
頬の温度を奪ってくれたら
他になにもいらないと思った
そんな弱さだった

歩き出した時間の速度を
止める術は知らない
ぼくは取り残されるのを拒んで
息を切らしながら走る
それはありふれた雨の降る
ありふれた寒い冬の夜
この手が放し掴んだもの
ぼくは強くなった?
暖かいことも寒いことも
明日の空も青いのだろう
そんな強さだった

ありふれた感情が伝う
ありふれた雨の夜に。

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